ご自身の血液を採取後、濃縮して特定の成分のみを抽出し治療部位に注入する方法です。この成分を多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)略して PRP といいます。この PRP を作製するために専用の医療器具を使用します。(この器具をキットと呼び、厚生労働省に承認されており高品質なPRPが作製でき、かつ安全性が高いのですが、その分価格も高額になります)
作成されたPRPの血小板濃度は通常の約6~9倍、白血球濃度が通常の約5倍となります。(このPRPは白血球が多く含まれることから一般のPRPと区別して「LR-PRP」と呼びます。特徴や効果の比較は表2を参照ください)
このPRPから放出される成長因子に組織を修復・活性化させる働きがあるため、痛みや炎症を抑制する効果が期待できます。
次世代PRPと呼ばれるAPS療法は、専用のAPSキットを用いて「LR-PRP」にさらに遠心分離をかけ、脱水・濃縮することで炎症を抑える良質なたんぱくの豊富な溶液が作製されます。この溶液を使用することにより炎症バランスを改善し痛みを軽減させ、軟骨の変性や破損を抑えようとする治療法です。
PRPより高い治療効果をお望みの方や効果期間を延ばしたい方等に推奨します。
この再生医療を医療機関で提供するためには審査を経て厚生労働大臣に受理され、計画番号を取得する必要があります。
第2種 変形性関節症に対するPRP関節内投与 | 計画番号:PB3180126 |
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第3種 創傷治癒を目的としたPRPの関節外投与 | 計画番号:PC3180225 |
特定細胞加工物施設 | 施設番号:FC3180152 |
PRP療法(APS療法を含む)の治療部位は安全上のリスクに応じて分類されており「関節」の場合は第二種、「筋・腱・靭帯」は第三種となっています。詳しくは表1をご参照ください。
分 類 | 部 位 | 病 名 | 改善内容 | 対象となる方 |
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第二種 | 関 節 | 変形性関節症 | 痛みや炎症の改善 |
● 他の治療方法を用いても改善が見られない方 ● 様々な事情により手術を受けることが出来ない方 ● 手術を望まない方 ● 手術に踏み切れない方 |
第三種 | 筋・腱・靭帯 |
● 上腕骨外側上顆炎(テニス肘) ● アキレス腱炎・筋損傷(肉離れ) ● 足底腱膜炎 ● 肘・膝・足関節靭帯損傷 ● 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘) ● 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) |
対象疾患 | 変形性関節症 | ||
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分 類 | APS | LR-PRP ※1 | LP-PRP ※2(一般的なPRP) |
当院での対応 | 当院で治療を実施 | 当院で治療は非実施 | |
特 徴 | 白血球-多い 良質な蛋白質を含む |
白血球-多い | 白血球-少ない |
炎症抑制成分 | 多 | 中 | 少 |
成長因子(軟骨成長・保護) | 多 | 中 | 少 |
関節内環境改善 | ◎ | 〇 | 〇 |
痛みの抑制持続時間 | 12~24ヶ月 | ~6ヶ月 | ~6ヶ月 |
上記効果期間における 標準投与回数 |
1回 | 1回 | 3~4回 |
※1 LR-PRP(leukocyte rich PRP) 高白血球多血小板血漿
※2 LP-PRP(leukocyte poor PRP) 小白血球多血小板血漿
海外で2000年頃からサッカー選手やメジャーリーガー、プロゴルファー等のスポーツ選手のケガの治療のために行われるようになりました。その後プロアマ問わずスポーツ選手に対して実施されていますが、日本人メジャーリーガーが受けたことで我が国でも多くの人が知るところとなりました。
この治療法はスポーツによるケガのみならず表1に記載の対象疾患の方であれば実施が可能です。
当院では専用キット「GPSⅢミニ」を用いて治療を行います。通常の場合一回で終了となります。